今までの恋、全部消えればいい
あなただけが本当に好きな人だから
今ではそう思うようになった
あの日、あなたが抱きしめてくれたから。
ハジマリ
「あ、あたしと付き合ってくださいっ！！」
「気持ちは嬉しいけど、俺君のことまだよく知らないし・・ごめんね」
今年で何回目かのこのセリフ
只今、告白５連敗中
まだ知らなくても、これから知ってくれてもいいじゃん・・・
何回やっても、フられるのは悲しい・・・
「お前、またフられたんか。アホ」
「錦戸っ！？」
いきなり後から声が聞こえて反射的に振り返る。
そこにはニヤニヤ笑って近付いてくる錦戸亮
中学の時からずっと同じクラスで何かとあたしの前に現れては、笑いながら毒吐いて・・・
ほんとに、嫌なヤツっ！！
「あれーもしかして泣いとったん？ほんまアホやな」
「泣いてないっ！！てか、何で錦戸がここにいるのよ！！」
「ちょーっと通りすがったら無謀な告白シーンが見えたんでな、ちょっと見学させてもらったんや」
「見てたの！？悪趣味っ！！」
「なかなか楽しませてもらったわ」
「最悪・・・早くどっか行ってよ！！」
「アイツのどこがいいんや？俺にはようわからんわ。」
そう言って、さっきのあたしの言葉はまるで無視して、裏庭の芝生に寝転がった。
「錦戸にわかんなくてもあたしにはわかるのっ！！」
「へぇー、じゃあどこに惚れたん？」
「あたしが大量のノート運ばされてたら、手伝ってくれて・・・優しいなぁーって」
「はぁ？それだけ？？そんなん俺もやってるやん！！」
「錦戸にしてもらったことなんてありませんー！！」
「もうええわ、お前には一生してやらんからなアホ！！」
「アホアホうるさいっ！！なんで錦戸はあたしにばっかりそんなこと言うのよ？」
「お前のこと・・嫌いやから」
ずっと、笑いながら話していた錦戸が、真顔で言った
そっか、そうだよね、好きな子には毒なんか吐かないし
あたしだけにこんな最悪な態度とるんだ。
「・・・！！っ！？」
錦戸が叫んだと思ったら、急に強い感覚
「いきなり・・泣くなや。」
え？あたし、泣いてる・・・
自分でもわからないうちに涙が流れてて、
よくわからないうちに錦戸に抱きしめられてる・・・
「そんなに、アイツのこと好きやったん・・・？」
「お前をフるってことは、そんだけの男やったってことや。お前の良さに気付かんしょーもない男や。」
「お前みたいな、いい女にはもったいないやんけ・・・だから、泣くなや。」
違う、違うよ。
フられてちょっと悲しかったけど、さっき錦戸と喋ってたあたし、ちゃんと笑ってた。
今だって、あの人のことなんか考えてないし、浮かぶのは錦戸だけ。
錦戸があたしのこと嫌いって言ったから・・・
「違う・・・」
「え？」
「違うよ・・・錦戸が、あたしのこと嫌いって言ったから・・・悲しかった。」
「・・・嫌いなんかやない・・・」
「嫌いなわけないやん。のこと、好きや・・・」
「お前がノート持ってもらったくらいで惚れるんやったら、俺は今までイジメた分もっと優しくしたる。」
「・・・せやから、俺のこと好きになってや。」
背中に回された手がギュって強くなって、少し苦しいけど、愛しい。
あたしもなかなか動かすことのできなかった手を錦戸の背中に回した。
「もう、好きになっちゃったよ・・・バカ」
きっと、近すぎて気付いてなかっただけ。
ほんとは、毒づいた会話でも楽しい、なんて思ってたから、
ずっと前から、錦戸のことが大好きだったんだ。
ＥＮＤ
あとがき
こんにちは！作者のゆかりです。
ギャップ萌え錦戸、３作目！
今回は、あたしの中の錦戸さんのイメージを前面に押し出してみました。
好きな子程、意地悪してしまうガキです(笑)
彼は、素直になれなくて、毒吐く感じがするので「嫌い」と言わせてしまいました。
まあ、でも最終的には男前に強引に終わってくれて良かったです。
学生設定で芸能人じゃないつもりで書いたパラレルです。
中にはパラレル好きじゃない方もおられるかもしれませんが、
一人でも多くの人が、気に入ってくださればいいなー！と思います(^ω^)
それでは、読んでくださってありがとうございました！
失礼します。
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