Miracle







最近越してきたばかりのワンルームマンション


「もうちょっと会社に近いほうが良かったんだけど、いい部屋だったから」なんて。


本当は雄ちゃん家に近いのを最優先にした、ってことはお父さんには内緒。





狭いベッドに無理やり二人で寝転んで


止めどなく、会話を交わす




冷房の効いた室内なのに、合わさる二人の素肌が異様なくらいに熱を持って


じわりと滲む汗に少しの不快感と、たくさんの愛しさ。







「暑いよ、雄ちゃん」


「俺も暑いし」


「ね、もうちょっと離れてよ」


「嫌だ」





本当は床の上だって、ソファーだって、何処だって


あたしが安らげる場所はあるんだけど。



いつのまにか二人落ち着いた場所は、シングルベッドの上で


あたしが一番安らげる場所は、雄ちゃんとくっついていられる場所だって気付いた。




あたしが本当は離れてほしくないんだ、ってことをとっくに見抜いた雄ちゃんは、ベッドの上で一人暴れて、


シングルサイズに乗せる予定より、遥かに重量オーバーしたベッドがミシミシ鳴いた





「とりゃっ!!」


「ひゃっ!重いよ!!ゆうちゃーん!!!」


も重いからっ!ほら、俺の大事な手が下敷きにーー!!」


「ちょっと落ちるってば!・・・きゃっ!!」




ベッドから転がり落ちそうになったあたしを素早く抱き寄せて


雄ちゃんの腕のあったかさに、冷房で冷たくなった足先も、指先もじんわりと溶けていった。







「あんさー、俺思ったんだけど」




あたしの心を溶かす熱が、足先から心臓まで。指先から心臓まで。


伝染するように、ぐるぐる巡っていっても



雄ちゃんの腕はきつくあたしを抱きしめたままで


これ以上の行き場を失った熱が、あたしの心を激しく動かした






ドキドキ、ドキドキ、




「すごいと思わねぇ?」





何度も抱きしめられた腕なのに、こんなにも激しく鳴るこの鼓動に


壊れてしまうんじゃないかって不安になって、少し息を止める






ドキドキ、ドキドキ、




「俺らが出逢って、こうして傍にいることって」





大きな身長差のせいで、あたしの顔は雄ちゃんの胸の位置


優しさと愛しさに浸りながら、暖かい胸に顔を埋めた






ドキドキ、ドキドキ、




「すっごい奇跡だと思うんだわ」






さっきより近くなった距離で、感じた。


今度は、あたしじゃない。雄ちゃんの鼓動。



あたしに負けないくらい激しくって熱い、鼓動





ドキドキ、ドキドキ、


ドキドキ、ドキドキ、





二つの鼓動が重なり合いながら響く


トクトクと規則的に打つ鼓動は、これから先、二人の未来を刻む秒針のようで


お腹の中でお母さんの心音を聞く赤ちゃんみたいに、安心した





「だって、俺が生まれてきたのって、60億分の1の確立じゃん」


が生まれてきたのも、60億分の1の確立でさ」


「その二人が出会って、こうして一緒にいるっていうのは」







「もんのすごく、奇跡的なことなんじゃないかな」





今にも涙が溢れ出しそうで、息ができない。


きっと、雄ちゃんはあたしの返答を待っているんだろうけど



何にも言えなくて、言葉にできなくて


泣き出しそうな顔を見られないように俯いた






ロマンチックなセリフを吐いてしまった後で


何も言わないあたしのリアクションが気になる雄ちゃん






「え、もしかして・・引いた?」


「・・・ばっかじゃないの・・・」


「え、まじでスベった・・・?」


「・・・・」


「いや、うん。忘れて!俺にはあのセリフは似合わねぇな!!」







「離れられなくなるじゃん・・・・」





恥ずかしがってわざと大きな声で話す雄ちゃんに、あたしは小さな声で呟いた。






「・・え?」



「そんなこと言ったら、あたし雄ちゃんから離れられないよ・・・」




・・・?」






「ばかっ・・・」




そう言って雄ちゃんの胸で泣き出したあたしを、少し困った顔で、見下ろす


あたしを抱きしめる腕がぎゅうって強くなって、あたしの涙が雄ちゃんのTシャツにゆっくり染み込んでいった。






「俺が離すわけねーじゃん。ってか、絶対離してやんねーよ!」



「・・・ずっと、愛してるからさ・・・」






いつも恥ずかしがってふざけてばっかりの雄ちゃんが


ロマンチックなセリフを言って、その上『愛してる』なんて言っちゃったのは


効きすぎた冷房の肌寒さのせいなのか、昨日見た亀梨くんのキザな演技のせいなのかはわからないけど



雄ちゃんの愛と優しさをいっぱいもらって、また涙がTシャツに水玉模様を作った。






「あたしも・・愛してるよ」






なかなか会えない恋人だから、不安はいつもあたしに付きまとっていて


テレビの中でファンの女の子に笑いかけるその姿は


紛れもなく、あたしの大好きな雄ちゃんなのに


あたしの知ってる雄ちゃんじゃないみたいで怖かった




けど




こうして抱きしめてくれる雄ちゃんは


あたしの傍にいる時の雄ちゃんは


あたしだけのものだって、自惚れててもいいかな?




奇跡とか運命とか、それから愛とか、


形のないものを信じるのは難しいけど


雄ちゃんと一緒なら、ずっと信じていける気がするんだ。




こうして生きていることがひとつの奇跡なら


これからも二人でたくさんの奇跡を作っていこうね。



















END





















あとがき

こんにちは。作者のゆかりです☆
今回初!中丸さんを書かせていただきました!
えー甘いです!!ロマンチックですよね☆☆
えっと、雄一サンの言ってる意味って理解できましたかね?
世界に60億人(くらい)のひとがいる中で、生まれてきて、
本当に大切な人に出会えるっていうのは奇跡なんじゃないかなぁーっていう、ね。
そうゆうことが言いたかったわけなのです!!!
ゆかりのイメージではゆっちは、結構ロマンチスト。でも恥ずかしがりや。矛盾してる?
中丸様は大好きなひとなのでこれからも書いていけたらいいなと思います(笑)
久しぶりすぎる更新でしたが、読んでくれてありがとうございました!!!
では、失礼します(^ω^)


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