「いってきまーす!!」



「いってきます」






特等席




「かーずや!!おはよーー」


「おはよ」


「今日は早いね」


「鈴木が次遅刻したら教室掃除ひとりでやれってゆぅからさー!!あぁーねみ…」


「和也は早く寝ないから起きれないんだって!!昨日も遅くまで電気付いてたでしょ」





「バスで行くの??」


「そうだけど…話はぐらかさないでよ!!」


「乗る??」


「乗る!!」



カバンからスポーツタオルを出してきて冷たい鉄の荷台の上に置く


ポンポンって叩いてほらって和也は笑った


優しい優しいあたしのお隣さん



「行くぞ」


「うん」



勢いよく走り出した自転車に向かい風が頬に当たる


その冷たい風にあやかって



「寒いね」


って言って和也の腰に回す手をキュって強めた



「あっ!!お母さんがね今日仕事なかったらご飯食べに来ない??って」


「まじ??行く行くー!!」


「うちのお母さんは和也好きだからねーほんと息子にしたいわぁってずっと言ってるよ」


「俺は老若男女問わずモテモテだからねーさすが亀梨様」


「ファンの子もお母さんも自分で亀梨様とか言ってる腐った性格を知らないからねー」


「うわひどっ!!落としてやろっかなー」



そう言ってふらふらハンドルを動かすから


あたしは落っこちそうになってまた強く和也にしがみついた


細くて華奢に見えるその体は思ったよりがっしりしてて


あたしより小さかった背も背中もこんなに大きくなってた











「はいとうちゃーく!!」


「ふぅー疲れたー」


「はぁ?俺がこいでやったんだけど」


「ありがとねー」


「おぅ」



って綺麗な顔で笑った和也に自分でも顔が赤くなるのがわかって


指先に息を吹きかけながら両手で頬を隠した















「和也!!遅い!!」


「待ってたの??」


「行き乗せてったんなら帰りも乗っけてよ」


「わーったって」








「じゃあ、しゅっぱーつ!!」







「ちょ…動くなって!!」


「とりゃー朝の仕返しぃぃー!!」


「ひゃぁ!!」


「っ…ぶね…」



自分から揺らしたくせにあたしはバランスを崩して


また落っこちそうになった


反射的に目をつぶったら腕に強い力を感じて


和也が困った顔であたしを見た



「だから動くなって!!」


「ごめん…」








「あぁーやっと着いたー」


「大変な道のりだったね」


「全部のせいでな」


「まぁまぁ…スリルを味わえたっしょ」


「ざっと3年分…」




「腹減ったー!!おばさんただいまー!!」


「ただいま。おかーさん和也ー!!」


「おかえりー!!おばさん和也君だよーー!!」

「あんたん家じゃないから!!」


「いらっしゃい和也君vv入って入って」


「いらっしゃいましたvv」




お母さんはエプロン姿のまま走ってきて


娘のあたしには目もくれないで和也を満面の笑みで迎える




いい歳してなにやってんだか…




「エプロン姿も素敵ですねvv」


「あらー何言ってるのvvおばさん嬉しいわーvv」



なーに同級生の母親口説いてんだか…


職業病だな…






ーちょっと手伝ってー!!」


「無理。着替えてくる!!」


「おばさん僕やりますよ!!」


「あらそう?ごめんね。が何もしないから」


「いえ!!何でも言ってください!!」




聞きなれない高いトーンの声で会話を交わす二人は無視して


階段を駆け上った






部屋のドアを乱暴に閉めたら目の前に見えるのは和也の部屋


見慣れたブルーのカーテンにさっきの和也の温もりが蘇る



「一緒にいたら和也の運転よりあたしの心臓が危ないよ…」



熱った頬を冷たい指先で覆って


階段をゆっくり降りる








「和也君はほんといい子ねぇ…彼女とかいるんでしょ??」


「まぁ…いるっちゃーいる…かな」




もうちょっと熱りがおさまるまで部屋にいたらよかった


まだ少し熱った頬に冷たい涙が零れた






「コンビニ行ってくる!!」


「あー俺も行くー!!」



よくわかんないけど涙が次から次から頬を伝う



「ちょ…待ってよ!!」


「なんで付いてくんのよ!!」


「おばさんがご飯冷める前に帰って来いって」



あたしの心はさっき和也のせいで急速冷凍されたよ


熱った頬も流れる涙で冷たくなったよ





ー??」




ーーーー!!!!」




「何?泣いてんの??」



今まであたしの気持ちにちっとも気付かなかった鈍感野朗のくせに


なんで気付くかな…


下唇を噛み締めたら鼻の奥がツンって痛くなったけど


涙をグッって堪えた


「泣いてなんかなっ…!!」



無理やり笑って顔を上げたら和也の香水の香りが鼻をかすめた


それと同時にあたしは和也に抱きしめられる形になって


スラっと伸びた華麗な腕に強く縛られて動けなくなった



「急に泣かれると困るんだけど」


「和也!!離してよ!!」


「やだ。離さなーい」


「なんでこんなこと…!!」


「なんでって…好きだから」


「だってさっき彼女いるって….」


「それ聞いて泣いたの?ってか彼女コレだし」



和也は人目も気にせず道の真ん中であたしの背中に回す手を離さない


あたしの傷んだ明るい髪をくしゃって撫でながらあたしに心臓を突き刺す言葉を投げた



「あ…たし…?」


「うん」


「あたし付き合うなんて言ってないよ!?」


「でも付き合うっしょ??今から」


「ほんとに…好き?」


「好きだよ。付き合って??」


「…うん」







「さっ!!帰ろっか!!ご飯冷めちゃったらおばさんに怒られるよ?」



あたしの心は和也の腕の温もりでまた解凍されて


冷たい風が吹いても握った手はあったかいよ?





明日からは早く寝てもらわないと


あたしの席はふらふら動く自転車の荷台







優しい優しい恋人のうしろ










END











あとがき

こんにちはー!作者のゆかりです!

初かめなしさまです。
学生設定ですが、一応芸能人です。
そして幼馴染さんですよー!!
少女マンガっぽい設定になってしまいましたー(´д`)
亀はキザなイメージありますよね。
キザな亀梨さまはまた仁と違う魅力で大好きでございます(笑)
なかなか書いていて楽しかったので、また亀で書きたいと思います。
では、読んでくださってありがとうございました!
失礼致します。


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感想、一言だけでも大歓迎です(つ∀


どちらも強制じゃないですが、してくれると嬉しいです♪















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